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【実施報告】6/9に「イチエフから復興を考える」と題し,福島第一原子力発電所と原子力災害の被災地を視察

2025.06.11|報告

2025年6月9日(月)、FUKUSHIMAサイエンスパークのBOSAI人材育成プログラムのパイロット・プロジェクトとして「イチエフから復興を考える」(主催:東北大学グリーン未来創造機構)が開催され、御手洗潤教授(法学研究科)が講師を務めるとともに、本学の学生・教員27名が参加しました。本プロジェクトは、福島第一原子力発電所(イチエフ)と周辺地域の現状を学び、復興の多面的な課題について理解を深めることを目的としています。

視察に先立ち、御手洗教授による本学片平キャンパスで事前講義が行われました原子力災害の特殊性や、避難指示の変遷、復興の「光と影」といった多角的な視点から福島のこれまでと現状が解説され、参加者は複雑な課題を読み解くための重要な示唆を得ました。

福島第一原子力発電所では、廃炉作業の進捗状況やALPS処理水の取り扱いについて、担当者から詳細な説明を受けました。実際に施設を目の当たりにしながらの解説は極めて明快であり、参加者は国や東京電力が進める今後の安全確保に向けた方針について、理解を深めることができました。

続いて、長らく帰還困難区域であった富岡町を訪れました。町役場担当者からは、避難指示解除後も町に戻り生活している住民がまだ少ない現状について説明がありました。かつての中心市街地が更地となり、商店もほとんど見られない光景を目の当たりにした参加者は、インフラ復旧だけではない、コミュニティ再生や生活再建といった復興の長期的な難しさを改めて実感しました。

今回の視察は、机上だけでは得られない福島の複雑な現状と、そこで暮らす人々の思いに触れる貴重な機会となりました。廃炉という技術的な課題と、コミュニティ等の被災地の再生という社会的な課題が密接に絡み合う現実を深く理解することは、今後の災害科学研究や復興活動において不可欠です。BOSAI人材育成プログラムとしては今後もこうした現場での学びを重視し、福島の復興に貢献する研究と実践を続けてまいります。